悪夢のゴールデンウイーク

         ☆悪夢のゴールデンウイーク☆

―お池にはまってさあ大変!-

◆前号のあらすじ◆

20年前の大学3年のゴールデンウイーク。

当時実家のあった宝塚に帰省した。

予定では、1人のんびり気ままに、

舞妓は~ん!宝じぇ~ンヌ!のはずだった!?

ところが、彼女がやって来た。

親父にも受けがよく、観光案内のたびに出ることに。

いよいよ悪夢の小旅行が始まった。

どこへ連れて行こうか悩んだが、

当時付き合っていた彼女は、アクティブ系。

と、いうことで「甲賀 忍術村」に行くことに。

着くとそこは想像通りの忍者屋敷があり、

隠れ部屋あり、つり天井あり、落とし穴などなど

時代劇さながら。

忍者屋敷を楽しんだ後は、

野外のアクティブ系アトラクション手裏剣道場へ。

係りの「くのいち」も驚くほど

的にずばっ!ずばっ!と手裏剣が当たった。

彼女と係りの「くのいち」だけではない。

他の観光客の視線も一手に惹きつけている。

1投ごとに「わー!」歓声があがる。

そばにいた小学4年位の女の子が「すごーい!」と。

「そうだろ・・・」内心ヒーロー気分だった。

みなの視線を感じながら道場をあとにした。

西部劇のヒーローのように。

すこしいくと池が見えてきた。

池の端から端にロープが張ってある。

ロープの端を見るとそこには2つ浮き輪がある。

よく見ると真ん中に足をはめるようにできている。

なるほど、忍者は、水の上をこの「かんじき」みたいな

浮き輪を履いてロープをつたって堀を渡ったのか。

もうとまらなかった。心の奥底に閉まってあった「童心」が

完全に開いてしまっていた。

「やりたい!」

もう、自分の体重のことは忘れていた。

周りを見渡すと僕ら2人以外には誰もいない。

彼女に向こう岸に行ってもらい、ロープを引っ張ってもらった。

順調に池の真ん中に来たときに気の緩みかバランスを崩してしまった。

それを見た彼女が、焦ったのか、ロープが緩んだ。

「まずい!」

次の瞬間お尻と背中が見事浸水!

「キャー!」

「・・・・・」いないはずのギャラリーがいつの間にか回りに。

「キャー!」は先ほどの女の子だった。先ほどの羨望のまなざしとは

うって変わっての驚愕の顔。

彼女にとってのヒーローは、今無惨にも池の中に沈もうとしている。

「あきらめるか・・・」と思った次の瞬間、ロープがピンと張った。

彼女と「くのいち」が全体重を掛けて必死にロープを引っ張っている。

その姿に「がんばらなくては!」と思い、手綱を引き寄せていく。

渡りきったそのときにどこからともなく拍手が起こった。

ばつが悪いとはこのことだ。

帰りの車中彼女が言った。「でも、完璧にはまらなくて良かったね。クスッ。」

その後しばらく、彼女は形勢不利になるたびに言った。

「お池にはまったくせに!」

それは、20年たった今でも変わらない。

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